プロダクトデザインを担当した鈴木タケオさんは、「どんなに良いカメラを作っても、まず彼らの手に届かなければアナログ市場は今のままだと思ったんですね」と振り返っています 。
スマホで誰でも簡単に写真が撮れるようになる中で、昔ながらのフィルムを使ったカメラの味わいが若い世代を中心に人気が出てきています。そんな中、ついに国内のカメラメーカーからフィルムカメラの新作が発売されることが6月18日に発表されました 。
それがペンタックスにとって、約20年ぶりとなるフィルムカメラ「PENTAX 17(ペンタックス・イチナナ)」です。35mmフィルムを通常の半分のサイズ「17x24mm」で使用するハーフサイズカメラと呼ばれる仕様です。これは1960年代に大ヒットした「オリンパス ペン」と同じ形式。36枚撮りフィルムを使って、2倍の72枚も撮ることが可能です。原料不足で写真用フィルムが高騰する中で、コスパが良い仕様ですね。そのまま構えると縦長の構図になるという特徴があります。焦点距離は25mm。ハーフサイズのため、35ミリ判換算で37mm相当の広角レンズとなってます。ピント合わせも手動で距離に合わせて6つのゾーンから選ぶ「ゾーンフォーカス」方式。1コマずつ巻き上げてシャッターを切るように、フィルムの巻き上げレバーを備えています。発売日は7月12日。リコーイメージングストアでの直販価格は8万8000円となっています 。
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「フィルム写真に興味がある新しいユーザーのために」
手動で操作する部分はあるものの、フルマニュアルではありません。露出やシャッタースピードは自動制御になるなど、初心者向けのカメラとなっています。それには理由がありました。YouTubeで発表された公式動画の中で、このカメラのプロダクトデザインを担当した鈴木タケオさんは、以下のように打ち明けています 。
プロダクトデザインを担当した鈴木タケオさんによるメッセージ(該当部分は14分くらいから)
🗣 ️「このプロジェクトの一番初めとなるこのカメラの企画を始めるにあたって、どのようなカメラにするか本当に悩みました」 🗣 ️「フルサイズ、一眼レフ、フルメカニカル、中判カメラともういろいろなアイデアがありました」 🗣 ️「それらを作ったらファンの皆さんはきっと喜んでくれて、とても大きな話題になるだろうと思いました」 🗣 ️「しかし、今のアナログカメラ(フィルムカメラのこと)が置かれている環境では、もしそれらを作れることができたとしても、おそらくとても高価なカメラになっていくと思います」 🗣 ️「新しいカメラが出たとしてもお買い求めになれる方は、とても限定的になるのではないでしょうか」 🗣 ️「それでは、アナログ写真を楽しみたいエントリーユーザーが苦労している現状は何も変わりませんよね」 🗣 ️「10年、20年先って考えていったときに、今、アナログユーザーが増えていかなければ、彼らの次の世代にはつながりませんよね。途絶えちゃうかもしれないんですよ」 🗣 ️「まずこの最初のモデルは、フィルム写真に興味がある新しいユーザーのために作ることに決めたんです」 🗣 ️「どんなに良いカメラを作っても、まず彼らの手に届かなければアナログ市場は今のままだと思ったんですね 」
開発者からのメッセージにSNSで反響続々
この開発者の熱いメッセージを受けて、YouTubeのコメント欄では以下のような反響が寄せられていました。 💬 「2024年にフィルムカメラ出してくれてありがとうPENTAX!!」 💬 「この時代にフィルムカメラを完全新作で出すとは、感動で言葉がありません」 💬 「まさにフィルムカメラ始めようとしているユーザです。このカメラが手元に届く日が楽しみすぎます ! 」