父島のガイドサービス「たびんちゅ」のSNSが「この季節の風物詩です」として投稿した20秒の動画が話題になっています 。
都心から南に1000km。世界自然遺産の小笠原諸島・父島で不思議な光景が撮影されました。二見港から歩いて20分ほどの場所にある「製氷海岸」の波打ち際が一面、ピンク色に染まっているのです。その正体は南国特有の海洋生物の卵でした。一体、何が起きたのか解説しましょう 。
ピンク色に染まる製氷海岸の波打ち際
青い海とのコントラストが不思議な光景です
辺りには独特な匂いがただよっていたそうです
海岸を移動しながら約20秒の動画を5月24日に撮影したのは、父島のガイドサービス「たびんちゅ」(@tabinchu551)です。翌日にX(旧Twitter)に投稿したところ、約1万2000件の「いいね」が集まりました。たびんちゅでは「珊瑚が産卵した時に見られる赤く染まった波打ち際」「独特な匂いが漂っています。この季節の風物詩です」と説明しています 。
昨日の製氷海岸珊瑚が産卵した時に見られる赤く染まった波打ち際。独特な匂いが漂っています。この季節の風物詩です。pic.twitter.com/QjxodUjjkp
群落がある枝サンゴの産卵だった模様。「独特な匂い」についても聞いてみた
BuzzFeed編集部が、たびんちゅの村上美奈子さんに取材したところ、この製氷海岸は過去に日東製氷(現ニチレイ)の製氷工場が近くにあったことからそう呼ばれているとのこと。現在は海洋センターというアオウミガメの調査・保護をしている施設があるそうです。この海岸の海中にはスギノキミドリイシ(通称:枝サンゴ)と呼ばれるサンゴの群落があり、スノーケリングに向いているそうです。今回はサンゴの産卵があったと聞いて見に行き、撮影したのだそうです。枝サンゴは例年5月下旬から6月上旬かけて産卵するそうで、今回のもおそらく枝サンゴの卵ではないかとみているそうです。「シーズン中に数回産卵し、今回は小規模な産卵でした。数回のうち1~2回くらい大規模な産卵があり、近いうちにまた産卵すると思われています」とコメントしていました。あと、独特な匂いとはどんな匂いなのでしょうか。気になって聞いて見ると「よく生臭いと表現されることが多いですが、磯臭いとも言えるかもしれません」と回答。小笠原諸島は本州の海岸に比べると普段は磯臭さがなく、それに慣れているので、「サンゴの産卵があると急激に生臭くなって特に匂いを感じます」ということでした。観光シーズンではないこともあり、海岸は人も少なかったそうです。「長く島に住んでいる人にとっては『この季節がやってきたか』という感じで、わざわざ見に来る人は少ないかもしれません」と振り返っていました 。
「たびんちゅ」とは?
ウクレレ片手に7年間地球を旅した村上義弘さんが立ち上げたガイドサービス。様々な事を教えてくれた「旅」に敬意を払いガイド名を「たびんちゅ」としています。小笠原諸島には20数年前に移住し、星空、スキンダイビング、トレッキング、ヨガなどのアクティビティを夫婦でご案内しているのだそうです。【公式サイト 】
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